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平成14年度速報展

『平成13年度発掘調査速報展』

平成14年6月5日(水曜日)~9月29日(日曜日) 桜井市立埋蔵文化財センター
一夏季企画展「平成13年度発掘調査速報展」解説書- 2002年6月5日

1.平成13年度発掘調査の概要

平成13年度に桜井市立埋蔵文化財センターで行なった発掘調査は総数22件で、内訳として桜井市教育委員会が行なったものが11件、財団法人桜井市文化財協会が行なったものが9件、教育委員会と文化財協会との合同調査が2件となっており、昨年度に比ベ2件の減少となっています。
さて、近年における桜井市内の発掘調査の特徴を見てみると、経済不況の影響もあって建売住宅や集合住宅並びに店舗建設等の事前調査は減少していますが、個人住宅建設の事前調査が若干の増加にあります。
また桜井市内では、市内中央部を東西に貫く中和幹線道や南部の磐余(いわれ)地域で圃場整備などの公共工事が数年度にわたって行なわれており、全体として工事の件数は減少傾向にあるものの、工事1件に対する調査面積は増加の傾向にあります。
一方地域別に見ると、これまで年間の調査件数の大部分を占めていた市内西部の大福遺跡や大藤原京域内での集合住宅建設等の調査が減少し、上之庄遺跡や城島遺跡内などで増加傾向にあります。これは中和幹線道の開通を見越した沿線開発のためで、今後この地域での調査はさらに増加していくものと予想されます。

ところで平成13年度の発掘調査は、これまでの調査に比べると出土遣物の数が少なく、その大半は市内南部の池之内地区で行なわれた磐余遺跡群第4次調査からのものがほとんどです。これは調査面積が3,230平方メートルと他の調査より面積が多いのもその理由の一つですが、桜井市内の遺跡の特徴として纒向遺跡や大福遺跡・芝遺跡が他の遺跡より遺構・遺物の密度が比較的多く、毎年行なわれている発掘調査では、出土する遺物の大半をこれらの遺跡が占めていたためで、平成13年度では纒向(まきむく)遺跡が4件あったものの調査面積が少なく、大福遺跡は1件、芝遺跡に至っては調査がなかったためであろうと思われます。
それでは、次に平成13年度の発掘調査成果を遺跡毎に見ていくことにしますが、最後の「小立古墳出土の木製品」については、小立古墳の調査が平成12年に既に終了していますが、出土した木製品の保存処理が平成13年度中に無事終わりましたので今回の展示に出品することとしました。

平成13年度発掘調査地点

  1. 東新堂遺跡第8次
  2. 大藤原京関連遺跡第36次
  3. 大藤原京関連遺跡第37次
  4. 大福遺跡第22次
  5. 朝倉遺跡第4次
  6. 上之宮遺跡第13次
  7. 城島遺跡第22次
  8. 磐余遺跡群第4次
  9. 吉備池遺跡第12次
  10. 纒向遺跡第123次
  11. 谷遺跡第16次
  12. 三輪遺跡第19次
  13. 城島遺跡第23次
  14. 纒向遺跡第124次
  15. 吉備遺跡第14次
  16. 上之宮遺跡第14次
  17. 城島遺跡第26次
  18. 城島遺跡第27次
  19. 山田寺跡第12次
  20. 纒向遺跡第126次
  21. 茅原遺跡第11次
  22. 纒向遺跡第127次

2.調査の成果

注釈:写真は、広報「わかざくら」~発掘調査現場から~に掲載分

大福遺跡の調査

今回の調査では、弥生時代中期中頃~末にかけての環濠集落に関連する遺構を検出する事ができました。中でも幅約2~3メートルを測る溝1・2は、集落東側の最も外側の溝になると考えられ、既に確認されている西端と合わせて集落の規模を推定可能にする資料となりました。
その他には、木製鋤の未製品などが出土した土坑や多量の土器片・獣骨が出土した溝、建物跡や柵列になる50基以上のピット群が検出できました。また屈葬人骨も出土しました。
弥生時代以外の遺構には中世遺物が出土する大溝が検出されており、周辺に船着場などの施設が存在する可能性があります。

大福遺跡の調査の写真

詳しくは発掘調査報告(170回~179回)ページの発掘調査現場から(177回)弥生時代の生活道具をご覧ください。

発掘調査報告(170回~179回)

城島遺跡の調査

城島遺跡では4回の調査を行いました。第22次調査では、古墳時代後期~終末の掘立柱建物跡・溝などの遺構や落ち込み埋土内から鍛冶関連遺物などの遺物が出土しました。
第23次調査では、旧初瀬川の砂礫層を2ケ所の調査地全面で確認できました。
第26次調査では、遺物は少ないものの、弥生時代後期の方形周溝墓を5基と、竪穴式住居と考えられる落ち込みを検出する事ができました。
第27次調査では、中世遺物が多量に出土する旧河川の砂礫層と古墳時代前期のピットを確認しました。各調査とも小規模な面積ながら、少しずつ城島遺跡の内容を伺う成果を挙げる事がでさました。

城島遺跡の調査の写真

詳しくは発掘調査報告(180回~189回)ページの発掘調査現場から(182回)城島遺跡の調査をご覧ください。

発掘調査報告(180回~189回)

東新堂遺跡の調査

平成13年4月に行なった東新堂遺跡第8次調査では、平安時代末~鎌倉時代初頭の土壙墓(どこうぼ)が発見されました。
遺跡内の調査ではこれまでに、溝や建物跡は数ケ所で確認されていましたが、お墓の跡が見つかったのは今回が初めてです。このお墓は木棺を直接穴の中に埋める木棺直葬墓と呼ばれるもので、墓壙(穴)の規模は南北3.5メートルX東西1.5メートルを測ります。南小口の幅が北に比べ広いことや、枕と思われる石が南側に設置されることから頭を南に向けて埋葬されたことがうかがわれます。また墓内には瓦器椀や土師器皿などの食器類が多数納められていました。

東新堂遺跡の調査の写真

詳しくは発掘調査報告(170回~179回)ページの発掘調査現場から(174回)東新堂遺跡の調査をご覧ください。

発掘調査報告(170回~179回)

谷遺跡の調査

国道165号線阿部交差点の南西隅で実施した谷遺跡第16次調査では、飛鳥時代末の溝、柵列と、それよりやや古い段階の溝などが検出されました。
当期の溝々には砂を主体とする土が堆積しており往時の流水の頻繁さがうかがわれます。また土器の細片が大量に出土したことで、近隣集落と関係深い遺構であると考えられます。調査地は古代の幹線道路のひとつである山田道に隣接する交通の要衝となる地域で、周辺では今回と同時期の豪族居館と考えられる遺構が見つかっていることから関連が注目されるところです。

磐余遺跡群の調査

今年度の調査は山田・池之内における圃場整備に先立つ確認調査の第4次にあたり、大字池之内の小字榊山・墓の前・椚木原山の丘陵上が対象となりました。
検出された遺構は、榊山地区では、古墳時代前期の円筒埴輪や供献されたと思われる小型丸底壷・高杯が出土した溝をはじめ、古墳時代中期~後期の須恵器の杯・器台の完形品が出土した溝が検出されました。それぞれ古墳の周壕と考えられます。
墓の前地区では、丘陵東裾に沿う形で、中世城郭に関連すると考えられる断面V字型の溝を検出した他、一段下の段丘裾でも、整地をした上から掘削された中世溝を検出しました。この溝も丘陵に平行していると考えられます。その他、飛鳥時代の三間以上×四間以上の堀立柱建物跡も一棟検出できました。
椚木原山地区では椚木原山1号墳・2号墳をはじめ、古墳時代後期の完形品の須恵器を伴う古墳の周壕と考えられる溝や、床面が礫敷の土壙墓、五輪塔が伴う中世墓などを検出しました。また飛鳥時代の桁行五間×梁間二間以上となる四面庇(しめんびさし)大型掘立柱建物とその脇殿となる桁行三間以上×梁間二間の掘立柱建物跡を検出しています。
池之内を含む一帯は、かつて磐余と呼ばれた地域であり、古墳時代後期、飛鳥時代にかけては宮跡が6つ設置されたという伝承があるほどの要所です。今回の調査で同時代の多数の遺構が確認できた事も、磐全地域の重要性を裏付けていると考えられます。

小立(こだち)古墳出土の木製品

小立古墳は桜井市の南部大字山田にあり、平成11年、圃場整備に伴う事前調査で谷底から発見された5世紀後半頃の埋没古墳です。
これまで古墳は、尾根上や平地にしか造られないと考えられていましたが、今回の発見で今までの常識を覆すこととなりました。また古墳の東側には山田道が推定され、周辺の池之内古墳群(4世紀)や山田寺跡(7世紀)なども含め、古代よりこの地域は磐余から飛鳥へと通じる要所であったと考えられます。
調査の結果、この古墳は全長34.7メートル・周濠幅6メートルの帆立貝式の前方後円墳で、後円部からは古墳を取り巻くように茸石(ふきいし)や円筒埴輪・形象埴輪等が出土しています。さらに、円筒埴輪の間には7個おきに1本の割合で木製の盾が立っていたこともわかりました。
周濠から出土した木製品も含め、石見(いわみ)型13点・靫(ゆぎ)形2点・盾形2点・大刀形1点、計18点の木製品が発見されています。これらは、いわゆる「木の埴輪」とも呼ばれ、祭祀に使ったものと考えられています。また石見型の一部には直線と曲線を組み合わせた文様が表現されているものもありました。

桜井市立埋蔵文化財センターでは、これらの木製品を後世に残すため最新の技術を用いて処理を施し、この度皆さんにご覧いただけるようになりました。

小立(こだち)古墳の写真

詳しくは発掘調査報告(160回~169回)、発掘調査報告(170回~179回)ページの発掘調査現場から 小立古墳の発掘その1~その5をご覧ください。

発掘調査報告(160回~169回)

発掘調査報告(170回~179回)

お問い合わせ先
桜井市教育委員会事務局 文化財課
〒633-0074 桜井市大字芝58-2
電話:0744-42-6005
FAX:0744-42-1366