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万葉歌碑-歌碑の紹介(18)

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No.18

夕さらず(ば)河蝦鳴くなる三輪川の清き瀬の音を聞かくし良しも

  • 歌の解釈:夕方になると、いつもカジカの鳴く声のする三輪川の清いたぎつ瀬の音を聞くのは、何ともいえずいい気持ちだ。
  • 万葉集:巻10~2222
  • 所在:金屋、初瀬川の堤
  • 著者:作者未詳
  • 筆者:樋口清之

歌碑18の画像

歌碑ものがたり(その10)

 (広報『わかざくら』平成11年5月15日号掲載)

  • 「樋口清之」書

考古学者の樋口先生は次の歌をお選びになった。


「夕さらず河蝦鳴くなる三輪川の清き瀬の音を聞かくし良しも」

 

右は万葉集(巻10-2222)の「秋の雑歌」中「河を詠む」と題したものである。

初瀬川も三輪山麓を流れる時は三輪川と呼んでいた。

万葉仮名では「暮不去河蝦鳴成三和河之清瀬音乎聞師吉毛」としるす。

ところが樋口先生は第一句を「夕さらば」と書かれていたゆえ碑面にその通り彫った。記憶がそうなっていたためだろうか。意味には変わりがない。 
夕方にはいつも、かじかが鳴いている三輪川のさっぱりしたその流れの音を聞くのは愉快だ、というのである。


歌碑は「佛教傳来之地」との東大寺別当平岡定海和尚の雄渾な石碑の西傍に並び建つ。
もとはここから約三〇メートル東側三叉(さんさ)路角にひっそり建っていた。
現地は風光絶佳の地である。

先年皇太子殿下御成婚記念事業の一つとして大和川上流のこの地が選ばれ、護岸も自然の様相に改修された。
現地に佇むと、初瀬川はゆるやかに流れていて視界がはれやかだ。

北、目の前に三輪山の中腹に桜の花がほのかに若葉越しに見えている。東に形のよい大和富士の緑も趣深い。
さらに「こもりく」の初瀬谷から昇る朝日を拝み、西はるかに二上山に入る夕日を望む景観は俗塵を払い忘れさせてくれるすばらしい眺望というべきではなかろうか。
斜め北に磯城瑞籬宮(しきみずがきのみや)跡があり、対角線南東の地は磯城島金刺宮(しきしまかなさしのみや)跡だ。

「しきしま」とのここの地名が、「しきしまの日本の国」ととなえられたのである。

ここに都された欽明天皇十三年(五五二)に仏教が公伝した。異国の人らの往来する国際都市であったわけだ。


樋口先生は明治四十二年(一九〇九)当地に生まれ、織田小学校から旧畝傍中学校をへて国学院大学に入学、世界的な人類学者鳥居龍蔵先生につき考古学を究められた。
国学院大学教授、のち名誉教授、国学院大学栃木短期大学学長、同大学名誉学長を歴任された。その間多数の著書がある。

NHKの時代考証も長く担当されていたが、平成九年東京で他界された。八十八歳であった。
ちなみに没後ご遺族から当市図書館へ蔵書多数の寄贈を受けたときいている。

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