令和5年度活動報告

更新日:2024年04月01日

第19回纒向学セミナーを開催しました

2024年1月6日(土曜日)、大阪大学大学院人文学研究科教授の福永伸哉先生を講師にお招きし、第19回纒向学セミナー「ヤマト政権成立期の大和川と淀川-畿内内部の地域関係をさぐる-」を開催しました。当日は約250名の方に参加いただきました。

 

セミナーでは福永先生の講演のあと、当センターの寺沢薫所長と対談いただきました。

講演では、地域政治連合がどのように統合されていくのかを青銅器や特殊器台、四隅突出墓の消長から解説をされ、その後のヤマト政権の成立過程では、画文帯神獣鏡は大和川流域と淀川流域のどちらにも分布するのに対し、三角縁神獣鏡の時期になると淀川流域に偏りがみられ、両勢力と大和盆地との関係性の変化が読み取れるというお話をされました。また、その後に王陵が河内地域に移ることからも、王権の主導権争いが劇的に展開していたことが推測されるとのことでした。

対談では、ヤマト王権の成立時期について寺沢所長からの問いかけがあり、前方後円墳の成立をいつにみるのかなどそれぞれの立場をお話されました。また、ヤマト王権を構成する諸地域の特色が前方後円墳の分布や王陵の移動として現れ、これらの要素からもヤマト王権内部の動向を読み取ることができるのではないかという話が展開され、聴講者の皆様も熱心に耳を傾けていました。

当日お越しくださいました皆様、ありがとうございました。

第19回纒向学セミナーの講演の様子

福永先生の講演の様子

第19回纒向学セミナーの対談の様子

福永先生と寺沢所長の対談の様子

令和5年度纒向考古楽講座を開催しました

令和5年12月9日(土曜日)と12月16日(土曜日)に連続講座として纒向考古楽講座を開催しました。

今回のテーマは「モノの観察からわかること」とし、実物の土器を触り見ることを体験していただきました。

第1回では、年代の異なる土器を観察し、それぞれが持つ特徴がどのようなものなのか
参加者とスタッフが相互に会話をしながら自由な発想、視点での観察を楽しみました。

第2回目では、実物の土器と実測図を観察から照合し、実測図の意義と見方を知っていただきました。
また、複数の土器を編年表に当てはめ、年代の並び順を予想していただきました。

実物資料の観察の面白さと奥深さを実感いただけたのではないでしょうか。

参加いただいた皆様ありがとうございました。

令和5年度纒向考古楽講座1日目

解説の様子

令和5年度纒向考古楽講座2日目

土器観察の様子

東京フォーラム10「前方後円墳創生」を開催しました

2023年11月25日(土曜日)に東京都千代田区有楽町のよみうりホールにて、纒向学研究センター『東京フォーラム10 「纒向学」発信!「前方後円墳創生-纒向遺跡と古墳時代の始まり-」』を桜井市主催、読売新聞社の後援で開催しました。
今回は4年振りに全席を開放し、約700名にご来場いただきました。

午前中は、佐々木憲一氏(明治大学教授)と橋本輝彦研究員(纒向学研究センター統括研究員)、午後から苅谷俊介氏(京都橘大学客員教授・俳優)と辰巳和弘氏(古代学研究者)に講演いただきました。
講演の後には、寺沢薫センター所長をコーディネーターにシンポジウムを行い、講演者と熱く議論を交わしました。
前方後円墳のはじまりとは、そもそも前方後円墳の定義とは、そして古墳時代の画期とその背景などについて興味が尽きない内容でした。

また同ホールのロビーでは、開演前や休憩時間に市のPRやふるさと寄附金の案内ブース、ARガイドやVRゴーグルの体験、纒向遺跡関連書籍や市の特産品の販売ブースなどを設け、多くの来場者でにぎわいました。

お越しくださいました皆様、誠にありがとうございました。

東京フォーラム10の講演の様子

講演中の会場の様子

東京フォーラム10のシンポジウムの様子

シンポジウムの様子

第18回纒向学セミナーを開催しました

2023年7月22日(土曜日)、当センターの寺沢薫所長を講師に、第18回纒向学セミナー「卑弥呼とヤマト王権」を開催しました。

約300名の方に参加いただきました。寺沢所長の講演のあと、NHK奈良放送局の柳澤伊佐男さんと対談いただきました。

講演では、近年の調査を含めた考古学的成果から纒向遺跡がヤマト王権最初の大王都と解説されました。また、2世紀では北部九州の伊都国を盟主とした「イト倭国」、3世紀では卑弥呼を中心とした「新生倭国」が想定され、文献資料などにみえる当時の東アジア情勢から、後漢王朝の崩壊によりイト倭国の権威が失墜し、新生倭国が誕生し卑弥呼が共立されるという王権の来歴を、文献と考古学の整合性を踏まえてお話されました。

対談では、柳澤さんが報道による遺跡への注目や邪馬台国研究について尋ねられ、寺沢所長は研究成果を根底に置いた長期的な普及活動が求められると話されました。また、これまでの「纒向学」の実践を踏まえ、今後も纒向学研究センターを中心とし自然科学や文献史学などとの学際的な調査研究を更に進めていく一方で、学習的な観点に重きを置きつつ、時代に則した新たな情報発信手法などによる活用の展望を話されました。

当日お越しくださいました皆様、ありがとうございました。

寺沢所長の講演の様子

寺沢所長の講演

柳澤さんと寺沢所長の対談の様子

柳澤さんと寺沢所長の対談

お問い合わせ

桜井市纒向学研究センター
〒633-0001 桜井市三輪686 芝運動公園内
電話:0744-45-0590
ファックス:0744-45-0590